北陸・富山県の真ん中あたり、山ぎわの小さな坂の町・八尾。情緒漂う町並み、通りの端を流れる水の音、町家の格子の向こうに息づく暮らしの気配。「おわら風の盆」でご存知の方も多いでしょう。どこか懐かしく、でもほかのどこにもない時を重ねてきた・・・。そんな町に暮らしながら旅をする、それが「越中八尾 町旅」です。
伝統的な八尾の町家に、わが家のように滞在する「町家暮らし体験」をベースとし、宿泊と食事は分離。町家からそぞろ歩きで行ける料亭、割烹、ときには民家を訪ね、八尾ならではの食を楽しみます。
おわらや紙漉きなど地元の名手から学ぶ「体験・交流プログラム」では、八尾の多様な伝統文化に触れていただくことができます。また、八尾から世界遺産・五箇山合掌造り集落へ、立山黒部アルペンルートへと足を伸ばすことも思いのままです。
江戸時代、八尾は越中と飛騨の国境の交易拠点でした。養蚕や和紙の生産でうるおい、旅籠や酒蔵が軒を連ね、艶やかな花街が賑わい、粋を愛する人々によって町人文化が花開きました。昔ながらの町並みも、曳山祭やおわら風の盆も、すべて唯一無二の八尾の歴史と風土のたまものです。
とはいえ八尾に暮らす者にとって、貴重とされる町並みや、町家に住むことはあたりまえでした。近年、さまざまな理由で町を離れる人が後を絶たず、空き家になる町家は増えるばかり。
そして”あたりまえ”が揺らぎ始めたとき、そのすばらしさ、大切さが見えてきました。町並みや町家、伝統文化はもちろん、なにげない日々の暮らしも・・・かけがえのないあたりまえを守るには、八尾独自の仕組みが必要でした。
「越中八尾 町旅」はそんな背景から生まれました。町家に暮らしながら旅するからこそ伝わる八尾の魅力をもっと楽しみ、いつまでも愛してくださる人を増やしていきたい。また住民自身が、ふだんの八尾の豊かさに誇りをもってほしい。さまざまな願いのもとに、今この新しい旅のかたちを発信します。